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ビジネスビルへのアートインストール

OVERVIEW

都市にアートが存在するとき、その場所には空気の質が変わるような瞬間が生まれます。Zero-Tenは、まちの中に「アートのある風景」を広げることで、福岡という都市の表情と体験価値を高めていきたいと考えています。
その取り組みのひとつが、ビジネスビルへのアートインストール。
日常に非日常の気配をもたらし、都市の景色そのものに新たな変化を生み出しています。

ビジネスビルへのアートインストール

DATA

クライアント
福岡地所
実施年
2021

CREDIT

キュレーション
榎本 二郎 ( Zero-Ten )
01

世界的アーティストの作品を福岡の街に展示

本プロジェクトのクライアントである福岡地所株式会社は、海外の建築家とのコボレーションを得意とするディベロッパーです。
今回、天神ビジネスセンターや博多FDビジネスセンターといった福岡市中心部のビジネスビルにアートを展示したいという依頼をいただきました。
ビジネスセンターは多くの人が働き、海外を含む市外のさまざまな都市から人が訪れる場所です。パブリックスペースでアートを展示することで、市民はアートに触れる機会を獲得でき、訪れる人には「アートがなじむ街」として福岡市のプレゼンスを向上させることができるという考えを伺いました。

Zero-Tenもこれまでアートを用いた空間演出を行ってきました。アートでまちづくりにポジティブな作用をもたらしたいという福岡地所の試みと私たちの考えは重なるところが多く、ご協力させていただく運びとなりました。

アーティストを選ぶ上で重視したのは「本物であること」と「わかりやすさ」。また、福岡の街に住む人々の感性と調和することも考えました。

 

天神ビジネスセンター
「Light & Color, work in situ」 /ダニエル・ビュラン(フランス)

モダンアートの巨匠であるビュランは直線を用いたストライプアートを得意としています。
本作品は白いプレキシガラスと白と黒のストライプを交互に並べた構成となっています。
このほか、鏡面を用い、周囲の空間も作品の一部となる「HG6 Alto Relieve」も館内に展示しています。

 

天神ビジネスセンター
「The question of the helix in a broken cross composition」 /アティナ・イオアヌ(ギリシャ)

手作業でつくられた幾何学的な三角形で構成されている作品。素材には、赤い布地や伝統的な男女の着物を用いています。また、ステンレス製の構造体は、透明感や光の反射を利用して螺旋状に展開し、光とともに変化します。

 

博多FDビジネスセンター
「NEUROPEPTIDXXX,2021」「ARELAR GLAND,2021」 /ドナ・フアンカ(ドイツ)

絵画、彫刻、サウンド、ビデオ、ライブパフォーマンスなどを組み合わせた独自の表現で作品を制作するドナ・フアンカ。博多FDビジネスセンター内に展示された2つの作品も、キャンバスに過去のパフォーマンスや作品のイメージをコラージュ・プリントしたものを貼り付け、その上から油絵具、砂、生の顔料で彩色する手法で制作されました。
「身体」と「皮膚」は彼女にとって重要なテーマであり、「NEUROPEPTIDXXX,2021」は神経伝達物質の一種である“ニューロペプチド”、「ARELAR GLAND,2021」は“乳輪腺”をモチーフにした作品です。

いずれも国際的に評価の高いアーティストであり、常に新しさを感じさせる作品を制作しています。
OMA NYやシュミット・ハマー・ラッセン・アーキテクツといった海外の建築家がビルを手がけることもあり、デザイン性が高く、先進的なビルの空間にも彼らの作品は適していると考えました。

作品の制作、選定の際にアーティストたちとは多くのことを話しました。
彼らは福岡の街に強く興味を持っており、街の地理や気候、食、文化について多くのことを聞いてくれました。
また、福岡の街や人についても尋ねられたので、「日本の他の地域と比べて、他人の目を気にして生きている人の少ない、自由な風土」「素直な感性を持った人が多い」と伝えました。
こうしてプロセスを経て、自由でフラットな土地や人に合った、確固たる個性を持ちつつも王道を行く作品群を福岡の街にインストールすることができました。

02

アートからオリジナリティが滲み出る街を目指す

アーティストたちは、それぞれ今の時代に即したコンセプトやフィロソフィーを掲げています。たとえば、ダニエル・ビュランは、縦縞模様(ストライプ)を建物の内外に張ることで、空間や場所そのものを変容させ、「作品」とすることで、場所と作品の関係を問い続けています。
また、ドナ・フアンカはインスタレーションやパフォーマンスを通して、空間に対する身体の関係性や自らのアイデンティティを追求しています。

作品を通じた彼らの問いや呼びかけは、福岡に住む人の心に刺激や新たな価値観を生むきっかけをもたらしてくれるはずです。
また、海外から福岡を訪れる人に対しては、既存の福岡のイメージとは異なる印象を与えるでしょう。
天神ビッグバンや博多コネクテッドなど再開発事業が進み、大きな変化を遂げつつある福岡の街。
Zero-Tenは、これからもアートを通じて街の成長と進化に寄与していきたいと考えています。

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